漢字

「綾」の意味、由来、命名

「綾」

 「綾」の漢字も命名で良く使われます。「あや」の読み方と漢字の持つイメージが上品だから人気があるのでしょう。もちろん、漢字の意味にも深さがあり、絹織物を意味して、糸と糸が筋目のある模様を作り出した意味があり、貢物として上等な絹織物を指しています。

複雑に絡み合った絹織物は、何とも言えない深みのある絹織物として人々に価値を見出されて大切にされたでしょう。人の縁も複雑に絡みあい、交差しながら色とりどりの人生に色を添えます。

綾(あや)絹(きぬ)とは、斜(しゃ)文(もん)織(おり)と言い、触った感じは、柔らかいのですが、しっかりとしたデニムのようなもので、伸縮性にとみ、しわになりにくいという特徴があります。

「綾」の意味、由来

「綾」は会意兼形声文字です。「糸」「夌」から成り立ちます。

「夌」の部分は、山地の「陸」+「夂」の会意文字で、足の筋肉の筋を立てて、力んでやまを登ることです。この「夌」と「糸」で、筋目のある織り方をした絹になります。足は片足を上げた人の下向きの足の絵とより糸で出来た漢字だとも言われます。

交差した模様の織物で縦の糸と横の糸が3本以上合わさって、その畝が斜めに見える織物を「綾織り」や「斜文織り」と呼ばれて中国の殷の時代から伝わる古い織物です。この生地は皺になりにくく、心地よい手触りが特徴です。日本では、京都の西陣織が有名で「綾錦織」と呼ばれ豪華絢爛な錦織の着物などに仕上がります。

西陣織の歴史は古く室町時代の応人の乱の時代までさかのぼり、伝統のあるもので、細い糸で織ってちりめん状の本しぼり織などは、「紬」とも呼ばれ、日本の技術を代表する作品でしょう。日本の和を表現していて、しっかりとした大和撫子を彷彿とさせる「綾」の文字は命名に使うにはピッタリですね。

画数   14画

音読み  リョウ、リン

訓読み  あや

名乗り・名付け

(あや、あ、りょう、りん)

意味

1.浮き出た感じに模様を織り込んだ薄い絹

2.光る部分と光らない部分をつくり、模様を織り出している

3.布面にななめの筋を織りだした布、あや織り

4.かざり、ことばの綾

5.入り組んだしくみ、人生の綾

赤ちゃんに命名するときの工夫

綾絹の美しい衣服を表現する言葉に「綾羅(りょうら)」や「綾綺(りょうき)という言葉があります。「綾子(りんず)」と表現する光沢のあるすべらかな織物を表す言葉もあります。なかなか「綾」を(りん)や(りょう)とは読めませんが、古い時代かから大切にされてきた織物である絹を表現するときに使われてきた重みのある漢字であることは間違いありません。

男の子には「りょう」と読んで命名することも多いです。女の子でも「麻綾」と書いて「まりん」と読ませるお父さん、お母さんもいらっしゃいます。まりんちゃんとは読んでもらえないことも多いかも知れませんが可愛い命名ですね。25画で悪くないと思います。お父さん、お母さんの想いがあれば良いと思います。

命名で画数に悩んだ時は?

「綾成す」などの言葉もありますが、美しい模様を作るという意味以外にも、うまく扱う、操るなどの意味もあります。言葉を巧みに使いこなせることは、コミュニケーション能力が必要とされる社会では、いつの世も大切な技術であることは否めません。言葉の力で世を治めるような人物になって欲しいとの願いを込めて「綾成す」を意識して「綾成」(りょうせい)と命名したいと考えたお父さん、お母さんもいます。

「綾成」では画数が20画になってしまうので「政」の文字を使い「綾政」とされてはとお話したことがあります。「政」はまつりごとの意味があり、言葉を使い操る政治家の「政」ですね。本来は、社会生活を正しく行うために取り仕切る仕事をする仕事をする人を指します。

「綾」は一文字だけを使う場合は凶画とされる14画になってしまうので、躊躇されることも多い感じですが、漢字の意味自体はたくさんの良い思いを込めて命名できる漢字です。色々と工夫して赤ちゃんに使ってあげてください。

女の子の命名

「あや」で

「綾耶ちゃん」(あや)23画

「綾美ちゃん」(あやみ)23画

「沙綾ちゃん」(さあや)21画

「あ」

「乃綾ちゃん」(のあ)16画

「里綾ちゃん」(りあ)21画

男の子の命名

「あや」で

「綾仁くん」(あやと)18画

「綾太くん」(あやた)18画

「あ」で

「綾蓮くん」(あれん)27画

「りょう」で

「綾汰くん」(りょうた)21画

「綾祐くん」(りょうすけ)23画

参照 学研 漢字源辞書