「幸」
「幸」の漢字は、
昔、罪を犯すと手にはめる木製の手錠の手枷(てかせ)を象形文字に描いた形だとされています。
細かく隙間ができたところに、両手首を差し入れるのです。
昔の時代は、生きていくことさえ、困難でした。
そんな時代に罪を犯しても、手かせをはめられるだけの軽い刑罰すんで、良かったなぁという意味があるそうです。
そして「幸」とは、もともと「刑」と同じ意味があり、「執」(つかまえる)や、「報」(仕返し)の文字にも含まれています。
ちょっと、意味が字とのイメージから??となってしまいますね。
でも、「幸」とは、「しあわせ」「さいわい」「幸福」の意味があります。
これは、天から発せられる「気」と地から発せられる「気」の和合を形にしたものが「幸」で、人と人との和合することによって生まれる幸福で、調和することがもたらす「幸」であるとなっています。
死と隣り合わせの、せめぎ合いの時代の幸せ、和合することの大切さを感じます。
この漢字は奥が深そうです。
「幸」を命名に使うときは
運が良いことを「幸運」と言います。
海や山からの収穫を「幸」と呼びます。
天皇の外出を「行幸」と言い、縁起の良い漢字となっています。
主君に気に入られ、思いもよらない「幸い」を手に入れた君臣を「倖臣」と言います。
「倖」は、にんべん亻=人+幸が合わさった漢字で、人がもたらせた幸せと言うことです。
思いもよらなかった幸運です。
そんな、幸せを手に入れるのは運が良いこととなります。
手枷をはめられても、幸せと感じるような、厳しい時代ではないけれど、幸せとは苦しい中でも生きていける状態を表すのでしょう。
幸せの感じ方は、人それぞれだと言うことだと、言い表しているようですね。
幸せとは「幸せになる」のではなくて、感じるものだと聞いたことがあります。
棚からぼたもちで、「ラッキー」な幸せも良いですし、努力して手に入れる幸せもいいです。
どんな形であっても、ささやかな幸せも感じ取れる子どもであって欲しいと願います。
子どもが幸せであれば、親も幸せなのですからね。
「幸」は名前に使わない方が良いと聞くかと思いますが、そんなことはないんですよ。
良い意味の漢字なのに、使わない方が良いと、される漢字は他にもいろいろあります。
「優」や「秀」や「光」や「勝」などなど、漢字自体が幸運すぎて、名前負けすると言われています。
その字があるから安泰だと、あぐらをかいているようでは駄目ですが、お父さん、お母さんや親族の方々が、赤ちゃんが幸せになるようにと
考えて付けてくれているなら、名前負けするなんてありません!
あまりにも、誰が見ても「これは、ちょっと…」と言う漢字でなければ、綺麗な漢字は使ってあげて下さい。
ちょっと、画数などは調べてあげるとその子にピッタリの漢字に引き寄せられて、良い命名になると思います。
漢字の由来や意味を知り、命名の参考にして下さい。
画数 8画
音読み コウ
訓読み さいわい、しあわせ、さち
名乗り・名付け
(さい、さき、さち、たか、たつ、とみ、とも、ひで、みゆき、むら、ゆき、よし)
意味
1.さいわい、しあわせ、ひどい目にあわなくてすむこと。
2.さいわいにして、運よくやっと
3.さいわいとする、ねがう、これは占めたと思う
4.みゆき、天子がでかけるときに使う敬語
5.君主に可愛がられる。君主の恵み
6.姓のひとつ
7.山や海からの収穫物
「幸」を使った女の子の名前は、
「さち」でしょうか。
幸枝ちゃん(さちえ)16画
知幸ちゃん(ちさち)16画
又、「ユキ」の響きを使い、
「幸穂ちゃん」(ゆきほ)23画
「幸菜ちゃん」(ゆきな)16画
三文字では
「幸智世ちゃん」(さちよ)25画
「幸々夏ちゃん」(ここな)26画
「コウ」の響きで
「幸香ちゃん」(こうか)17画など
男の子のでは
「泰幸くん」(やすゆき)18画
「篤幸くん」(あつゆき)25画
「幸暉くん」(こうき)21画
「幸史郎くん」(こうしろう)23画などがあります。
参照 学研 漢字源辞書
平凡社 白川静博士の漢字の世界へ