「暖」
「暖」の漢字は一文字を見るだけで、あたたかいイメージがします。ポカポカとあたたかい様子が思い浮かぶので、赤ちゃんの命名に使うにはピッタリでしょう。春をイメージさせる漢字ですから、春生まれの赤ちゃんによく使われています。
一文字で女の子には、「ほのか」、男の子には「だん」などが人気です。「はる」の読み方や「のん」の読み方での命名も人気です。響きが可愛らしくて、優しい感じがします。
冬の季節であっても、赤ちゃんの名前に「暖」があることで、じんわりと周りの人々を暖めてくれるような人物に育ってくれるように願えます。
人の暖かさがわかるように、優しくて、暖かい心が育つようとの想いを込めて命名してあげて、お父さん、お母さんも優しく見守ってあげましょう。
「あたたかい」の同音異語で「温かい」もありますが、「暖」は全体的なあたたかさを指して、「温」は直接触れている一部が感じるあたたかさだそうです。
「温」の部首は液体を表す「氵」になっていることから、温かい水や温かいお茶のように、液体を表すときに使いますが、液体だけでなく温かい料理、温かい人柄などにも使われます。直接触れることができるものに用いることが多いようです。
「暖」は、火にかけてものを温めるという意味があり、「日」へんを使い「暖」という字が生まれていて、直接触れて感じることができないあたたかさを表すようです。暖かい春の日差し、部屋を暖めるなどが主な使い方です。
もともとは、「温」と同じように使われていたかもしれません。だいたいの使い分けは、「冷たい」の反対は温、「寒い」の反対は暖と覚えておくと良いそうです。このような漢字の意味の違いからも、意味を見出して命名してあげるといいかも知れません。
あたたかい、ぬくもりがある所には人も集まってきます。ほっこりとするような暖かい人柄は、誰もが望むことですね。寒い冬の後にくる春のあたたかさを春暖(しゅんだん)、暖かそうな色を暖色(だんしょく)と言うことからも、あたたかいイメージしか思い浮かびません。苦労のない生活を暖衣飽食(だんいほうしょく)とも言うようで、幸せな生活が思い浮かびます。素敵な命名ができることを願っています。
「暖」の意味、由来
画数 13画
音読み ナン・ノン
訓読み あたたか・あたたかい・あたたまる・あたためる
名乗り あつ・はる・やす
意味
1.あたたかい、あたたたか、ぬくぬくとしてあたたかい、ねっとりと柔らかい感じで汗ばむさま。ぬくみ。
2. あたためる、あたたまる、暖房など
3.暖簾とは、もともと酒店や飲食店の中をあたためるため、たらしたすだれ
由来について
右側の「爰」が「ゆるやか、ゆったり、ゆるり」という意味があり、それに「日」を加えることで、日差しがやわらかい状態を表し、「あたたかい」という意味になったそうです。「爰」が「亘(わたる)」と同じ意味で、「日がゆきわたる」というのが由来だという説もあるようです。
「爰」(エン)は、手と手の間のゆとりを表した会意文字です。手と手の間のゆったりした空間です。「爰」(えん)は常用漢字ではないので、日本では使いませんが、部首は「爪」つめかんむりで、意味は、ゆったりやゆとりです。
「爰」漢字は、「暖の他にも「援」や「媛」「緩」「煖」などがあります。
「援」(エン)は、手を手で引いて援(たす)ける様子を表し、手で引っ張り上げて援(たす)けるという意味です。
「媛」(エン・ひめ)は、ゆったりとした美しい女性を表し、ゆったりとした女性=ひめです。’美女なり’とも表現されています。
「暖」は昔、㬉(ダン)と書いていて、日(太陽)+耎(柔らかい)の意味で、太陽の柔らかい㬉かさで、太陽と物を上下から手をさしのべてひく様子を表したてできた漢字です。
漢音が「ダン」で、気候を「暖気」、暖かい潮の流れを「暖流」といいますね。唐宋音が「ノン」ですから、名乗りでも「のん」を使ったり、店の暖かい空気を外に出さないようにする、酒屋の店によくかかっていた簾のことを暖簾(のんれん→のれん)と呼びます。
女の子
「はる」の読み方
「暖乃ちゃん」(はるの)15画
「暖菜ちゃん」(はるな)24画
「あ」の読み方
「暖心ちゃん」(あこ)17画
「暖央衣ちゃん」(あおい)24画
「のん」の読み方
「彩暖ちゃん」(あのん)24画
「佳暖ちゃん」(かのん)21画
男の子
「はる」の読み方
「暖仁くん」(はると)17画
「暖葵くん」(はるき)25画
「暖真くん」(はるま)23画
「あ」の読み方
「暖士くん」(あつし)16画
「暖留くん」(あたる)23画
漢字の使い分けときあかし辞典 円満字二郎著 研究社発行