「愛」
「愛」とは、「心が引きつけられ、慕う」「いつくしむ」「可愛がる」といった何かを思いやる心を表現した漢字です。「愛」の漢字は、「㤅(アイ)」と「夂」が組み合わせた漢字だったといわれています。
「旡」は、人が胸を詰まらせて、心が切なく詰まって後ろにのけぞったさまで、「夂」は人の足を表し、「心」はそのまま人の心のことを指しています。
心が切なく詰まって、足もそぞろに進まないさまとなり、「旡」+「心」+「夂」で、「愛」です。これらを全て組み合わせて、「心が切なく揺れて足も進まなくなり、振り返り、後ろ髪を引かれる思いとなり気にかかる」と変化していきました。後ろを振り返ったたたずむ人の形です。少し、切ない感じの姿が思い浮かびます。
以前は、そういった意味で、名前に使うのを避けられていた時代がありましたが、人間の感情の一部なのですから悪くはないでしょう。
「旡」の胸あたりに、心臓の形である心を加えた形で、立ち去ろうとして、後ろに心が引かれている人の姿です。後ろ髪引かれる思いですね。
その心情を愛といい、「いつくしむ」の意味となりました。立ちどまり、「心が引きつけられ、慕う」の意味になりました。
「人を慕って、想う気持ち」は尊く大切なものだと思います。価値観として、古くから大切だと考えられているこの「愛」は人類にとって不変のものなのでしょう。
愛の部首は、心です。りっしんべんは「忄」はその心の変化形となっています。で、その「愛」に部首「亻」が合わさった字は、「僾」となります。この字を分解すると「人を愛する」となるので、子どもの命名に使いたいと希望する人もいるようですが、意味は、「ぼんやりした」となり、名前には不向きですね。「愛」と組み合わさった漢字は、他にも多く、曖昧の「曖」ですが、これも「暗い」という意味だそうです。又、口偏をつけた「噯」は「げっぷ」のことだそうで、愛は複雑なようです(笑)
女の子
「愛」を使った名前で一番人気がある読み方は、「アイ」でしょうか。
愛佳ちゃん21画(あいか)
愛梨ちゃん24画(あいり)
又、「アイ」の響きの頭文字「ア」だけを使い、
「結愛ちゃん」25画(ゆあ)
「心愛ちゃん」17画(ここあ)
「月愛ちゃん」17画(るあ)
「愛花音ちゃん」29画(あかね)
「マナ」の響きで
「愛永ちゃん」18画(まなえ)や
「愛実ちゃん」21画(まなみ)
そのほかにも「めぐ」と読み
「愛恵ちゃん」23画
(めぐみ)最近では「メグミ」の「メ」だけの響きに当てて使われることもあるようですし、「チカ」で「愛子」16画と書いて(ちかこ)と読ませる場合もあります。
男の子
「愛介くん」17画(あいすけ)
「愛翔くん」25画(あいと)
「愛歩くん」21画(まなぶ)
「斗愛くん」17画(とあ)
「愛」の一文字名で、(あい)の一文字名前が、流行するきっかけになった漢字だとも言われています。
命名ではどのようにつかう?
「愛」の漢字は、人を愛する気持ち、人を思いやる気持ち、を思い起こさせます。人を思いやる気持ちからは、優しさや、人を愛する姿は、一途で真っすぐな様子が思い浮かびます。
人を愛する姿は美しいものです。そういう、人間に育って欲しい、人を愛せるように、又、人からも愛されるように、といった願いを込めることの出来る字となります。
優しく人を愛し、愛されるような子にと子に願っているのです。「愛」の漢字を名前にもつ子は、愛らしい印象です。周囲へもその愛を分け与えられる「心の優しい」子に育ってくれるといいですね。
「愛」の漢字の意味・由来
画数 13画
音読み アイ
訓読み いつく(しむ)、したしむ
名乗り・名付け
(あ、あき、さね、ちか、ちかし、つね、なり、なる、のり、ひで、まな、めぐむ、やす、よし、より)
意味
1、可愛がる気持ち、いつくしむ。いとしい
2、めでる、すきでたまらなく思う
3、大切にして手離さない
4、いとおしくて、せつない、もったいない
5、愛情、恋愛
6、キリスト教で神が人々を救ってくれる恵の心のこと。
7、仏教用語で登場する「十二因縁」の一つでもある
参照 学研 漢字源辞書
平凡社 白川静博士の漢字の世界へ