改名するにはどのような手続きが必要か?
親が付けた名前が「王子様」とあまりにキラキラネーム過ぎて子ども自身で改名手続きを行ったことが話題になりました。一般的にお父さん、お母さんは、子どもには幸せになって欲しい祈りや思いなど、特別な思いで命名することがほとんどです。
他には親が想像するイメージや自分の考え、思いを込めて命名するでしょう。しかし、そこで考えて欲しいのは、子どもと親は別の人格であるということです。もちろん子どもは親がいなければ存在しませんし、あなたの元に産まれてきたことには意味があると思います。
赤ちゃんに命名するときには、この赤ちゃんがおじいさん、おばあさんになったときに違和感がないかどうか想像を膨らませて考えると、あまり突飛な命名にはならないかと思います。
しかし、どうしても名前を変更したい改名したいと考えたときには実際に改名できるのか?できるのであれば、どのような手続きがあるのか気になると思うので少しお話します。
改名に必要な理由とは?
改名するには、相応の理由がいります。
戸籍法107条の2の正当な事由によって名を変更しようとする者は,家庭裁判所の許可を得て,その旨を届け出なければならない。に定められています。正当な理由があれば認められるのですが、正当な理由とは、代表的な理由を紹介すると下記の7つがあげられます。
①奇妙な名前であること
②むずかしくて正確に読むことができない
③同姓同名の人が身近にいて不便を感じる
④異性と間違われて困る
⑤外国人と思われてまぎらわしい名前である
⑥僧侶や神官になる予定だったがやめた又は、僧侶や神官になった
⑦長年他の呼び名があり、その名前の方が通称として通る
などの理由が必要になります。どの理由でも証拠となるデータや資料などの書類が必要となるのですがそれぞれの理由の書きか方について説明します。
改名理由で認められやすいものは?
改名理由は色々あるのですが、それぞれ改名理由を証明するのは難しいと言われています。一番改名理由で認められやすいと考えられるのは、
⑦長年他の呼び名があり、その名前の方が通称として通る
通称として長年使ってきたという事実の証拠を揃えやすいからです。改名手続きが通りやすい事例となっていいて一番裁判所も認めてくれる例が多いのです。
証拠を揃えるときに、例えば、年賀状や郵便物などで日付が入っている通称を使用している事実を証明できるものがあれば、この通称を使ってきた期間が5年ほど分をとっておきます。もう少し短い期間で認められて例もあるのですが、これはケースバイケースで相応の理由を添えて提出しなければいけません。
次に同姓同名の人が身近にいて不便を感じるなどの理由の場合も認められやすいようです。
この理由は犯罪者と同姓同名になってしまって嫌な思いをしていること、結婚することや養子縁組などによって親族など近しい人と、同姓同名になってまぎらわしいというようなときに認められやすいようです。近所に同姓同名の人がいて困っていても、その近所の人との距離がどれくらいあるかなどの説明細かくしなければいけません。
④異性と間違われて困る
この異性と間違われて困るというのも、只それだけの理由で改名が認められることは少ないようです。それ相応の理由が無くてはいけません。異性とまぎらわしい名前であることで、いじめられているなどの理由も付け加える必要があるのです。つまり異性と間違われて困る以外にも生活に支障が出ていなければいけないのです。
その他の理由では、性同一性障害などの場合に性と名前が一致しないことがあると思います。そのような場合もその理由に見合った証拠を提出することで改名が認められます。医師の診断書、両親の承諾書、ホルモン療法、性別適合手術を受けたことを証明する書類などが必要となってきます。
通称理由を証明する方法
最近はSNSなどが発達しているので、郵便を送ったり、受け取ったりすることが少なくなりました。そういう、習慣がなければ、証拠を揃えるのが難しい場合があります。その場合でもやはり証拠を作っていかないといけません。そのために、通称として使用している名前で郵便物を出すなどのやり取りの証拠を作らなければならないでしょう。
仕事をしていれば通称でも構わない書類はなるべく通称で作成するなど、ある程度周りの人に協力してもらわなければならないでしょう。
他にも証拠書類として認められやすいものは、病院の診察券、給与明細、公共料金の振り込み票や明細表、預金通帳、健康保険証などですが、これらは本名を求められることが多いでしょう。お店で買い物する領収書や、趣味などの会員証など簡易なものからでも、通称を使うことが大切です。
改名理由の書き方
改名理由の書き方は、改名する理由にあたる所に〇をつけます。その理由に基づく証拠になると考えられる証拠書類を揃えて、改名理由ついては証拠とつじつまの合わせた文章をしっかりと書く必要があります。
長い間、通称して使っていて改名したほうがしっくりいくことを説明するのです。また、通称で通っているので本名ではまぎらわしい思いをしていることも明記します。性同一性障害などの理由であれば、性転換手術を受けたので改名したいとハッキリと理由を書きましょう。
実際には、改名理由の書き方よりも証拠の書類が重要となることが多いようです。証拠を揃えるのは結構時間や手間も必要になるので何年もかけて計画しておかないといけません。
しかし、キラキラネームというのは、日本では鎌倉時代から問題とされることがあったようで、吉田兼好が「徒然草」で「人の名も、目慣れぬ文字を付かんとする、益なき事なり」と嘆いていたとされています。面白いですね。
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